台湾の石油化学最大手、台湾塑膠工業(台湾プラスチック)グループは2014年にも台湾に高機能ゴムの工場を建設する。米化学大手と合併で総額2億ドル(約180億円)を投じる。需要の拡大が見込める医療用製品向けを中心に供給する。中国大陸の景気減速などを受けて収益が悪化しており、製品を高機能にして経営体質を強化する。新工場は台湾中西部の雲林県にある台プラのコンビナート内に建設する。高機能ゴムは「水添スチレンブロック共重合体(HSBC)」と呼ぶ製品。温度・湿度の変化に耐えられ、光があたっても劣化しにくい。医療用の輸液バッグやカテーテル、手袋などに使う。
台プラグループ傘下の台塑石化がHSBCで世界大手の米クレイトンポリマーズと折半出資で合弁会社を設立する。年産能力は3万トンで「着工から2年程度で完成する見通し」(台塑石化)。台を生産するのは始めて。販売はクレイトンが担当する予定だ。新工場は当初、14年前半の稼働を目指していたが、台湾当局の厳しい環境影響評価(アセスメント)を受けて凍結状態となっていた。台プラグループの抗議で昨年末に条件が一部緩和され、建設に着手できるようになった。
アジアの石油化学市場では最大の需要家である中国の景気減速で需要が落ち、中東からの低迷。台プラグループ主要各社の12年の業績も不振だった。化学各社は生き残りを目指し、製品の高機能化や事業の多角化を急いでいる。
医療分野は科学各社が狙う有望市場の1つだ。台プラグループは新工場がおひざ元である台湾のコンビナートの高付加価値化につながると判断した。台プラグループは10年代半ばごろまでに米国で総額的約20億ドルを投じ、ナフサ(粗製ガソリンを使って石化原料を生産する予定。昨年12月にはベトナムで大型一貫製鉄所も着工しており、製鉄事業に進出する。