台湾大手の中国託商業銀行は10日、中堅地方銀行の東京スター銀行の買収を株主に正式に提示した。米投資ファンドのローンスターや新生銀行など多数の株主が同日、買収案に賛同する意思を示したもよう。中国信託は今後、詳細な資産査定を進めた上で、買収額を確定する。
東京スター銀の株主はローンスターや新生銀、仏金融機関のクレディ・アグリコルなど。中国信託の買収案はほぼすべての株式を約500億円で買得する内容で、一部を除く大半の株主が提示額を妥当と評価したとみられる。
中国信託は東京スター銀の資産内容を精査した後に買収額を確定し、株主側と最終合意する。金融庁は買収合意後の正式な認可申請を受け、主要株主について定めた銀行法に基づき、中国信託が株主としてふさわしいかを点検する。
買収が認められれば、外国銀行が邦銀を買収する初の事例となる。これまでは米リップルッド(現RHJインターナショナル)や米サーべラスなど外資系ファンドによる邦銀買収が主流だった。
中国信託は預金量が4兆円超と台湾の民間銀で最大級の規模を持つ。台湾のほか日本、中国本土、インドなどアジア各地に進出。富裕層取引、カード、デリバティブ(金融派生商品)など幅広い業務を手掛ける。大阪、名古屋、福岡などにも店舗がある東京スター銀の買収で、日本での業務を一気に拡大する計画だ。急成長するアジアの銀行が海外で勢力を拡大する象徴的なケースとなる。
東京スター銀は1999年に経営破綻した東京相和銀行が前身の中堅地方銀行で、2008年に国内ファンドが特別目的会社(SPC)を通じて買収した。リーマン・ショック後の収益の低迷で買収資金の返済が滞り、ローンスターや新生銀行などの融資団がSPCを通じていた。融資団は株式を長期保有する意図はなく、売却先を水面下で探していた。(日経)
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